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サブリース契約のメリット・デメリット

@「空室も滞納も関係無い」、A「30年〜35年の借り上げ保証」という内容にも関わらず、「サブリースを導入したが、安定性を高めるどころか、結局は不動産経営の手取り収入を圧迫しただけだった。」という意見をおっしゃられる方に共通していたのは、サブリース会社の提案内容をそのまま信じて、契約書や訴訟事例などをきっちり確認されていなかったという事です。(契約書の確認というのは、契約書に記載されている内容ではなく、その条文が借地借家法において有効かどうかを確認する事をいいます。)

では、一体どんな見落としがあったのか具体的な例を上げてご説明していきたいと思います。

1.新築工事代金にサブリース保証料が上乗せさられていた。
建設受注を目的にサブリースをセットで提案するという営業スタイルは、地主向け建築営業における古典的な手法です。
マンション建設会社は、建設工事で利益を上げる事が目的ですから、実勢賃料とサブリース保証賃料の差額でコツコツ稼ぐ事に重きをおいていません。サブリースが逆ザヤにさえならなければ問題ないので、建築請負とセットのサブリースでは、中古マンションのサブリースと比べ、かなり高額の保証賃料が提案されているのが実情のようです。
但し、新築サブリースでは、保証賃料が高額に設定されている分、新築工事代金も高額になってしまう事が一般的です。
もちろん新築工事代金(投資金額)が大きくなると不動産事業収支計画には決して良い影響は与えません。
とはいえ、新築工事代金が高くなったとしても、オーナーの手元に保証賃料が当初契約の通り入ってさえくれば、不動産経営を脅かすほどの問題にまで発展する事はほとんどないはずです。
「サブリースの保証賃料に釣られてマンションを建築してしまった」と後悔されている方に共通する災難は、建築代金が高くなったぶん投資回収に時間がかかってしまい、回収が終わる前に下記BCなどに記載するような予期せぬ問題や社会情勢の変化に直面し、大きな損害に結びついてしまった事です。

ちなみに、大手ハウスメーカーの担当者は、「当社の物件であれば賃料下落リスクが低いので、一般的な保証賃料より高い金額でサブリースが可能です。」と営業しているようですが、「最初にたっぷり工事代金で儲けさせて頂く事になっておりますので、保証賃料を若干上乗せさせて頂き、工事代金の利益の中から少しずつご返済させて頂きます。」というのが本音ではないでしょうか?

同じサブリースであっても利益構造が全く異なるため、建築請負がセットで提案されるサブリースでは、下記Aのようなケースを心配される必要はあまりないでしょう。
しかし、たとえ任せた物件が中古物件であっても「契約開始より10年後にサブリース会社の指定する建設会社にリニューアル工事を依頼する」といった内容の条文が契約書に記入されている場合、相場(工事内容や質)と比べ、著しく高額なリニューアル工事を発注させられる破目に遭いかねない事は覚悟しておかなければなりません。


2.サブリース保証賃料の基準となる査定賃料が相場より極端に低く査定されていた。
サブリースでサブリース会社よりオーナーに支払われる賃料の事を保証賃料と言います。保証賃料は、だいたいサブリース会社が査定した相場賃料に90%〜95%の保証率と言われる掛け率が掛けられ計算されているケースが殆どです。
もちろんサブリース会社にもサブリースを受託するに相応のメリットがあるべきですから、サブリース会社が査定(相場)賃料の10%程度を利益として受領するのは当然の事でしょう。個人的には、もし本当にオーナーの空室リスク・賃料下落リスク・未納リスクや管理の手間など、その全てが解消されるのであれば、査定(相場)賃料から15%程度を渡してでもサブリースを任せる価値はあるとおもいます。
しかし、サブリース会社から提出される近隣事例を基に計算された相場資料が正確に市場を反映していない場合は、少し話が違ってきます。そもそも査定賃料が相場の90%くらいの価格で査定された場合、そこから更に保証料として10%控除されてしまうと、実際には相場賃料(満室想定)の81%しかオーナーには支払われない事になります。
しかも、サブリースは肝心の賃料下落リスクに実は全く効果がない事が多いのです。(詳しくは次のB及びそれ以降に記載させて頂いております。)
何も知らないオーナーは「賃料相場や空室リスクに煩わされず、賃料相場の90%の金額がサブリース会社から保証されるので安心だ。」と実際には賃料相場の81%しか受け取っていないのに、景気の悪化や建物の老朽化に直面するその日までは特に不安も抱かずに満足させられてしまうようです。

この「査定賃料を相場より安く設定し、そこから一般的な保証率を掛ける事により利鞘を稼ぐ」というモデルを使ったサブリース営業は、立地などに難があり、入居者募集に苦労している中古物件オーナーの元へ持ちかけられる事が多かったようです。しかし、借り上げ額を極端に絞った提案を行うと、競合する他のサブリース会社に負けてしまいますし、そもそも普通であればオーナーに反発を喰らってしまって契約が取れませんから、極端なケースは減少してきており、複数社競合でサブリースの提案を依頼した場合、だいたい保証賃料は実勢賃料の80%〜85%程度に設定されるのが今日では一般的なようです。
尚、建築受注が目的でのサブリースの場合は、利益構造が異なるため、サブリース開始時の保証賃料はまず心配する必要のない金額に設定されていると考えて問題ないと思います。(建築時受注目的の場合は、サブリース開始から数年間の保証賃料は若干なら逆ザヤの事もあるくらいです。)

3.景気の悪化や建物が老朽化したら、賃料の値下げを要求された。
ここからが不動産サブリースにおける問題の本題です。本来の賃料相場と比べ80%〜85%程度の賃料しか手に入らなくてもサブリースを依頼する理由として一番多かったのが、「空室や滞納、賃料の値下がりが怖いから」という意見です。
当たり前ですが、景気は必ず上下します。もちろん、不動産の賃料相場も例外ではありません。その原則を踏まえ考えると、確かに賃貸不動産の経営・所有における一番のリスクは空室と賃料の下落といえるでしょう。
では、サブリースを依頼すれば、それらのリスクは消えるのでしょうか?
残念ながら、答えはNOです。
リスクが消えるのは、サブリース提案書の中だけの話であり、現実を見ると、景気の悪化や老朽化によりサブリースの保証賃料が相場より下がり出したら、サブリース会社は賃料の値下げ要求を行っています。(事実、ほとんどのサブリース契約書には、30年一括借り上げ契約と提案書に謳ってはいても、○年毎に賃料見直しといった文言が入っているはずです。)
又、サブリース契約書に記載されている「2年ないしは3年毎の賃料見直しの条項」を頑張って交渉し、「契約期間中は賃料値下げを行わない」や「賃料の変動は、5%までにする」とった内容にしたところで、判例を見ると信じられない事に法的には効力がありません。
更にたとえ当初3年毎の賃料見直し条項を5年毎や10年毎に交渉して改定しても、法的には殆ど意味が無いのです。
この点について、詳しくは次項のサブリース訴訟に具体的な判例を紹介しておりますので、そちらをご覧下さい。又、賃料値下げを回避する契約書を作成するコツについては、最終項のサブリース契約書チェックポイントにまとめております。

こうやって、改めて文章にまとめてみると、賃料の見直しが行われるまでの向こう数年の賃料保証(≒配当保証)を受ける為だけに「実勢賃料と保証賃料との15%〜20%もの差額」と「賃料2〜3カ月分もの免責賃料(初期費用)」もの費用負担を必要とする財産信託(サブリース)を委託した場合、「不動産経営に関わらず、どんな事業でもほとんど成功できない」のは、しごく当たり前に感じてしまうのですが・・・・・。

ちなみに免責賃料を3ヶ月取られた場合を計算すると、契約期間が10年であっても「3ヶ月÷120ヶ月=2.5%」となり、賃料10年分に対する2.5%の金額を、先払いで支払うのと同じ事です。
「投資信託でも初期手数料の高い商品はほとんど儲からない」と昔からよく言われていますが、その常識は不動産投資においてもそのまま当てはまるのではないでしょうか?

4.サブリース会社が倒産した。サブリースの賃料が滞り出したので不安で解約した。
幸いにして私どもが直接お伺いした範囲では、保証賃料が遅れた最初の段階でサブリースの解約申し出を行われていましたので、なんとか最悪のケースは逃れる事ができたケースしかありません。中には、賃料1ヶ月分がまるまる回収不能となった為、その月の銀行返済にはご苦労されたオーナーさんもおられますが、その後の結果を見るとまだましだったようです。
しかし、現実にサブリースを行う不動産会社の倒産は起こっていますし、数か月分の賃料が回収不能になっただけでなく、サブリース会社の破産管財人とのやり取りや実際に入居されている方との契約巻き直しなど、自分を当事者の立場に置き換えると、例えプロであってもサブリース会社倒産後の事後処理の業務量はゾッとします。入居者は、サブリース会社倒産により敷金が飛んでしまうので、物件に対しかなりの不満を持っているでしょうし、サブリース会社の担当者が引き継ぎ業務無しに退職してしまう場合もあるでしょうから、なかなか入居者との再契約への道のりは困難そうです。(丁度、競売物件落札直後のような状況である事が予想されます。)
当サイトで「サブリースで不動産会社は損しない仕組みになっている」と書かれているのになぜ倒産するのか?と矛盾にお気づきになられた鋭い方もおられるかもしれません。
実際にサブリース会社の倒産理由を業界専門誌で見てみると、そのほとんどは、「本業である建設受注の悪化や転売目的で開発した賃貸不動産の売れ残りなどが原因」である事が見てとれます。(業界専門誌を講読されていなくても、ネットで検索すればおおまかな内容は把握できます。)
例えば2008年に倒産したサブリース会社の中で最も大きい会社であった「ジャスダック上場のキョーエイ産業」の倒産速報を見ても殆ど同じ内容が記載されています。これから、景気(不動産市況)の悪化を受けて、建設受注や不動産転売・開発といった事業を行う不動産会社の倒産件数は当然増大する事が予想されます。
又、怖いのが、2008年に倒産した不動産転売・開発事業を行う不動産投資会社の中で規模の大きい会社の殆ど全てが、直近の決算発表では非常に良い利益が出ていた事です。(企業情報リサーチ会社の評点でも倒産直前まで非常に高い点数が付けられていた不動産会社が多かった事からも、銀行でも直接その企業を担当している人間にでも聞かなければ、なかなか倒産を予測するのは難しそうです。)
尚、どうしても不動産サブリースをご希望されるオーナーさんは、「この会社が倒産するなら自分にも多少の被害があっても仕方がない」と、ある程度の諦めが付くぐらいまで不動産会社の経営状況をご確認されておく事をお勧めします。
ちなみに「どんなにPLが素晴らしくとも、BSに販売用不動産(在庫)をたくさん抱えた不動産会社にはくれぐれも用心を。」というのが、前回のバブル経験者の方から以前に伺った教訓です。(今のところ、この教訓は、どうやら2009年度にもそのまま当てはまりそうです。)

※サブリースも普通借家契約である以上、オーナーからの解約が可能と契約書に記載されていても、借地借家法上の正当事由がない限り、サブリース会社から解約は無効だと主張された場合、オーナーからは簡単に解約できない可能性もあります。又、まだ判例が少ないため確かな事は言えませんが、サブリースとはいえ、借地借家法が適用されてしまうとなると、例えサブリース会社から賃料の遅れがあっても、1〜2ヶ月程度のレベルであれば訴訟をしても強制退去(解約)の判決を得るのはなかなか難しいかもしれません。
かといって、短い契約年数で定期借家契約を結んでしまうと上記3で記載するような、「保証賃料の値下げ機会」をみすみす与えてしまうだけです。定期借家契約は、サブリース会社からの賃料値下げ要求を防ぐ為に使うべきであり、貸主の解約する権利を保全するために使うのは、あまりお勧めできる使い方ではありません。
結局、サブリース会社倒産による被害を防ぐには、オーナー自身の与信管理能力と運に掛かっているといっても過言ではないでしょう。
サブリースにおける、賃料減額要求訴訟に対する判決に限った話ではなく、日本の借地借家法は、現状を踏まえていない欠陥だらけの理不尽な法律だとは思います。しかし、法律は法律、収益物件オーナーはこの不平等な土俵の上で、戦って行かなければなりません。身を守るには、勉強と情報交換が必要です。


5.サブリース契約が終了し、自主管理を始めたら「入居者の質が非常に悪い」と仲介業者の間で有名な物件である事を知った。
賃貸仲介会社さんの営業マンと話しをすると、我々が想像する以上に「属性に難があり、入居審査が通り辛いお客さん」の来店数は多いらしく、なにか怪しいなと感じるお客さん少し問題を抱えているお客さんであっても決める事のできる物件の情報をたくさん知っていると営業成績を上げやすいとの話を耳にする事があります。
賃貸仲介会社さんは、「何でも来い」といった募集スタンスの物件があれば、言葉は悪いですが、「少しややこしそうなお客さんが来れば、そういった物件にドンドン放り込んでいく」ので、意外な事に高稼働になり、多少の未納家賃があったとしても、結果として手取賃料の総額はUPするのです。
但し、賃貸会社間で一度そういったイメージが付くと、何も問題を抱えていない普通のお客さんに対しては、「この物件は、入居者のモラルが低くてトラブルが多いですよ。」と他の物件を引き立てる為の材料(※1)にされ、普通の入居者からは徐々に敬遠される物件になっていきます。
入居者の質を落としていけば、逆に手取賃料の総額は上がると書きましたが、もちろん永遠には続きません。共用部・室内ともに傷みが早く出てきますので、10年も経てば今度は一般的な賃貸物件より賃料は低くなってきます。(せいぜい持って15年でしょうか。)
更に売却価格(資産価値)も一般的な物件と比べ下落する事になります。共用部が荒れているだけでも売却にはマイナスですが、賃貸会社からの悪評は売却価格にとって致命的要因です。
資産価値(売却価格)は劣化しても良いから、まずは投資回収を早めるため短期的な賃料総額を追求するというスタンスで腹を括られているオーナーさんもおられますし、それも一つの考えだと思います。
又、サブリースの契約期間中に稼げるだけ稼いでおく為、入居審査を緩め、賃料総額を追求するサブリース会社も珍しくはありません。それはそれで、ある意味、「サブリース契約の本質を理解した戦略」を取っているに過ぎないので、責める事はできないと思います。
ただ、腹を括って10年〜15年の期間に通常の物件より稼げたオーナーさんは良いのですが、「何も知らない内に最もおいしい賃料確変中(※2)の期間をサブリース会社に食われてしまった」というオーナーさんは悲惨です。 ちなみに、「例えどんな入居者であっても、きちんとした応対はしなければならない。」という制約の中で、入居者層の悪い物件管理を行うのは思いのほか大変です。そういった理由からでしょうか、コンプラやモラルが要求される大手不動産会社では、「入居審査をユルユルにして入居者の獲得をする」といったケースはあまり見られないようです。
実は、当サイト執筆者も入居者の質が悪い物件の不動産管理は、「例え報酬が良くとも基本的には避けたいな・・・。」と考えている一人です。

※1.賃貸会社の営業マンは、引き立て役の物件の事を「当て物」、決めやすい物件の事を「決め物」と呼んでいます。
※2.基本的にパチンコはしないため、表現が確かでないかもしれませんが、「台がたくさん玉の出るサイクルに入った状態」を比喩に「本来の物件ポテンシャルを超え、賃料がガバガバ入る短期的なサイクル」の事を確変中と表現しています。

6.維持管理料や小修繕をサブリース会社が負担する契約をしていたら、売却時に価格が大きく下がる目にあった。
サブリースでは、保証賃料から掃除やEV点検などの維持管理費を引いた差額をオーナーに支払うのが一般的です。
又、維持管理費と同様、修繕費もオーナーが支払うべきものなので、先に少し手を入れておく事で延命を図り、大規模改修コストを抑える事ができる工事等があれば、それはオーナーに提案されます。(賃貸仲介業務がメインの管理会社さんの場合は、建物維持管理に必要なノウハウを持っていない会社が多く、提案されない場合もあるようですが、一定レベルの建物知識を持った賃貸管理会社であれば、大規模修繕長期計画書などの提出があるはずです。)

しかし、昨今では、他の不動産サブリースと差別化を図るために「維持管理費や修繕費も当社が負担します」というキャッチコピーでサブリースの提案を行う会社も出てきました。一見、良い提案に聞こえますが、サブリース会社は利益を上げるため、ギリギリまで維持管理費や修繕費を下げます。例えば、EV点検などもメーカーではなく、独立系メンテナンス会社を使うでしょうし、本来的にはやっておくべき修繕や部品交換なども後回しにされる事になってしまいます。結果、そのツケは、最終的に建物の劣化進行つまりオーナーさん自身で返さなければならない事は、知っておくべきだと思います。
そのような「維持管理費や修繕費も当社が負担します」という提案で実際にサブリースを獲得しているケースを目の当たりにする度に「表面だけ繕って、とにかく耳障りのいい事を言ったもん勝ちだな。」と当サイト執筆者は半ば呆れた目で見てしまいます。また、自分に取って都合の良い提案内容のみを信じてしまうオーナーさんに対しても、少し残念というか複雑な気持ちになるというのが、正直なところです・・・。

ご所有の不動産が築古物件で、あと5年で取り壊す予定といったお考えなら、正直言ってあまり建物の状態を気にする必要はないかもしれませんが、「まだまだ物件には稼いでもらわないと困る。」とお考えの場合、サブリース会社が建物管理費を負担するといっても、結局は賃料保証率の圧縮など「何らかの形でオーナーさんの財布から建物管理費用は出て行く」わけですから、建物管理費用はオーナーさん自身で負担されておかれた方が無難です。

ここまで、サブリースのデメリットを書いてきましたが、当サイト執筆者が客観的に見て、サブリースにも「これは、メリットだな」と思う内容がありますので以下に記載します。
(1)賃貸マンションのサブリースの場合、消費税がかかりません。(サブリースには管理委託費が発生せず、実質的な報酬は転貸の差額のため。)
ちなみに賃貸管理(プロパティマネジメント)を委託した場合は、PM報酬に消費税が掛かります。
微々たる金額ではありますが、サブリースならではのメリットです。
(2)オーナーは、入居者及び物件と直接関わる必要が無い為、わずらわしい手間の一切を省く事が出来ご自身の時間を有意義に使うことが出来ます。(直接物件と関わる事が一切ないのは、メリットですが、サブリース終了後に入居者層や建物状況が悪化するリスクもあります。)
又、入居者と揉め事が発生し裁判を行う必要が出た場合、サブリース会社が当事者として出廷してくれます。ちなみに、オーナーが当事者の立場でも、弁護士に当事者の代理出席をしてもらえば自身が出廷する必要はありません。
しかし、もっとも大事なのは当事者であるか否かではなく、裁判や紛争を未然に防ぐ事です。しっかりとした賃貸管理(PM)会社が、契約毎にその契約内容をきっちりと踏まえた契約書や覚書を作成し、その都度適切な対応さえ行っていれば、実際には裁判沙汰になるまで揉める事は殆どないでしょう。
尚、サブリースであったとしても、オーナーとサブリース会社が揉めた場合には、オーナーとサブリース会社双方が当事者となってしまう事は言うまでもありません。勿論、その場合でも民事紛争なのでオーナーは弁護士に代理出席をしてもらう事ができます。
(3)個人オーナーの場合、確定申告にかかる手間が省けます
オーナーにとって物件全戸の賃借人は、不動産管理会社の1名だけなので、通常の場合と異なり各戸毎に入居者名を記入する必要がありません。
きっちりとした、賃貸管理(プロパティマネジメント)事業者を使った場合、収支報告書が非常にきっちりしていますので、あまり手間にはなりませんが、賃貸仲介店舗による単なる入居者管理・客付け委託であれば、お忙しい方にとって申告は結構面倒かもしれません。
確定申告の手間が気になる場合、賃貸管理(プロパティマネジメント)事業者から、月次・年次の収支報告書のサンプルをもらい、それを税理士さんに確認してもらい、他に何をする必要があるのかご質問されるのが一番確実です。当サイト執筆者の個人的な見解では、確定申告が最も楽なのはサブリースで間違いないと思いますが、しっかりとした月次・年次収支報告書さえあれば、サブリースでなくとも申告は年1回の事ですので、さほど手間にならないと思います。

以上が、当サイト執筆者が見聞きしたサブリース契約のデメリット(メリット)です。
特に、収益物件の購入や賃貸物件の建築などを検討中の方は、不動産会社や建設会社、金融機関などの言う事をそのまま鵜呑みにせずに、本当に購入メリットや建築メリットが得られるのか、良く考えた上でお決め下さい。
印鑑を押すのは、もう一度考えてからでも決して遅くはないはずです。相続税というキーワードに惑わされないで下さい。例え、相続税が安くなっても収益力が落ちるのであれば、その投資は決して相続対策になりえません。
これは極端な例かもしれませんが、既に印鑑を押された方でも、違約金を払ってでも建築や購入をストップした方がましな場合もあります。
損を出してまで引き返すのには勇気がいります。ご親族や知人に対し、恥ずかしい思いもしなければならないでしょう。
しかし、「一時的な損を確定させる事を恐れずに、将来的に継続して発生するであろう、より大きな損害を食い止める」という行為も立派な投資だと思います。
次項:サブリース訴訟の判例やその争点など、事例を基にご説明>>


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